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粗筋。

『面白いことおこらねぇかな・・・』

天界で虚空を見上げる少年。
傍らに座すは髪を束ねた少女。
彼の願いが叶えられたとき、廊下が深紅に染まるーーー。





序章


私立の有名進学校への道は、なんというか、お約束というか、険しかった。
ライトノベルの高校生達が通うような、坂道が登校する生徒を迎えていた。
そんなわけで入学当初から数え切れないほど上ってきたこの坂との二週間ぶりの再会を祝い、ため息を漏らす、それが僕だった。
慣れてきているというものの、やっぱり心臓破りの坂は伊達ではないというか、なんというか・・・。
そういいながらも、入学時と比べてすいすいと上る自分の足に驚く。
やはり、こういうところで筋肉トレーニングが果たされているらしい。
・・・・・・なので、つい先日認可したジョギングトレーニング案は破棄することにする。
 このいつもどおりの通学風景、いつも通りの倦怠感、そして・・・いつも通り自分の前を行くヒト。
 髪は長く、ポニーテイルを解けば、腰にまで達する気がする勢い。
短いスカートからのぞく白い足がまぶしくて、僕はろくに前を向いて坂を上れない。
・・・・・・というか、下着見えてるぞ?
「おっす、藤原」
軽く声をかける。すると、クルリと回って僕のほうを向く。
「やあ、竹内くん。ここで逢うのは今日で百五十六回目だね。ところで、今日はポニーテイルにしてみたんだが、似合うかね?」
ボーイッシュなしゃべり方にも慣れてきた、こいつがクラスメートの藤原久代だ。
入学当初からこの朝の恒例のやり取りが続けられている。
「ところで、いつになったら、竹内くんは私のことをひさよちゃん、って呼んでくれるのだろう?」
「そんなこと期待されてたのか!?僕は!?」 「・・・ふむ。ひさよちゃんではだめっということは・・・わたしのことをひさよさま、って呼びたいんだな!?」
「なんで!?」
見当違いなことを返されても・・・。だいたいいずみ様って・・・僕はしもべかなにかか!?
・・・・・・僕(ぼく)=僕(しもべ)!!確かに同じ字だ!!
「いいかげん、あきらめろよ。僕がひさよちゃん、なんて呼ぶのは銀河が滅ぶまで多分ないからさ」
そういうと、安心した表情で、
「なら、べつにいいぞ。それなら近いうちに叶うということだか・・・」
「銀河滅亡が!?」
「実は、私が滅ぼすのだ」
「へぇ・・・そうですか・・・って何ゆえに!何故に!?」
のりつっこみ。
こういう会話をしながら坂を上っていくのももう定番になってきた。
藤原はしかも後ろ向きで歩きながらあがっていくのだから、僕より体力がつくことだろう。



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