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アラスジ

『ねえ、Sleeping Babyって知ってる?』
その言葉から始まる会話だけの恐怖。



「ねえ、Sleeping Babyって知ってる?」
『眠り姫?』
「違う違う。眠る赤子よ」
『眠る赤子?』
「そう。十何年も眼が覚めない赤ん坊の話」
『都市伝説じゃないの』
「違うわ。隣のクラスの西島さんが見たんだって」
『何を』
「生物室で羊水に浸かった赤子を」
『マジで?』
「うん。生年月日が十四年前の今日らしいのよ」
『じゃあ誕生日だね』
「笑い噺じゃないわ」
『なんでよ』
「だって十四年って事は私たちと同じじゃない」
『それが?』
「気味悪いじゃない。可哀想じゃない」
『可哀想?なんで』
「解らないの。でも解放してあげたい」
『・・・止めなよ』
「え?」
『彼女は私の双子の姉なのよ』
「なに言っているの」
『・・・・・・ねえ、Sleeping Twinsって知ってる?』
「・・・・・・眠る双子?」
『ある日双子の赤ん坊の一人は産まれたとき意識がなかった』
「・・・・・・」
『一方の片割れは元気に生まれた』
「・・・・・・」
『それが私なの』
「解らないわ」
『姉は今日目覚めるのよ』
「・・・・・・解らないわ」
『ふふふ。わからないでしょうね』
「・・・・・・大丈夫?」
『大丈夫よ。解放しにいきましょう、姉を』
「・・・・・・赤ん坊を」
『時間を止めた姉は都市伝説を作ったのね』
「生物室は向こうよ」
『ここね。・・・・・・西島、さん?』
「なんで西島さんがナイフを片手に生物室の前で・・・」
《あの赤ん坊は私の子供よ》
「・・・・・・」
『・・・・・・』
《ねえ、Sleeping Childって知ってる?》



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