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序章
その弐
校舎から蒼空を見上げると、複葉機が雲を描きながら滑降していた。
黒い複葉機は正式名を『Protos-G121』という。V-TOL機を多く生産するプロトス社の新型だ。
極度のGがかかる中その機体は校庭と滑走路を併用した施設に降りて往く。
複葉機であるが前時代的なプロペラ機ではなく電磁力を航空力学に応用して浮揚する機体は、土埃をあげはしたものの音もなく着陸した。
事実、眺める彼のように窓際に居なければ気づかった筈だ。
中から一人出てくる。
頭部装着具を取ると金色の髪が吹き出し、
複葉機の電磁エンジンが放つ独特の波によってそれは空を漂った。
『女だ。』
そう呟いたとき、何かが額に当たるのを彼は感じた。
振り返ると小柄な教師がチョークを振りかざし、第二投を放つ。
「怠けるのもいい加減にしろ、枚方クン!。」
その第二投は見事彼に命中した。
「羽曳野せんせー、体罰はいけませーん。」
彼、枚方は立ち上がりながら言う。
そして続ける。
「もっと強く投げないと!。」
「ドMか!。」
クラス全員が突っ込んで、鐘が鳴った。
一拍。
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